エア・チェック万歳
いろいろと世の中を騒がせているNHKですが,クラシックと民謡,演歌,懐メロ,最新ではないけどちょい前くらい前のJ-POPに関しては,「お気楽 廉価」をモットーとする聴者(マイノリティか?)にとって,実に有り難い存在です。
今は,死語になってしまいましたが,「エア・チェック」という言葉をご存じでしょうか?
エア・チェック【air check】
電波を傍受することが元々の意味らしく,民法放送で広告主が自社CMが正しく流れているかをチェックするために放送を録音しチェックをすること,という話もありますが,普通は,AM・FM放送をカセットテープなどに録音することを言います。
私などは,お金が「全くない」小学生の頃から,「小遣いが少ない」今なお,エア・チェックをして,限られた予算の中,ミュージックライフ(これまた死語の類に属するでしょう)を満喫しています。
今から20年以上前は,FM番組全盛時代だったのか「FM番組表雑誌」が数誌でていまいしたが(「FMfan」(共同通信社),「週刊FM」(音楽之友社),「FMレコパル」(小学館),「FM STATION」(ダイヤモンド社)の4誌)次々に無くなり,FMfanが最後に(2001年)FM番組表雑誌が全て無くなりました。
ところがインターネットとは便利なもの,NHKでは,なんと1週間先の番組表を,ウェブサイトで提供しているのです。もちろん「演奏時間:○分○秒」まで公表しています。おかげで,昔と変わらず,エア・チェックが可能です。
そして,何よりNHKの良いところは,
「全曲丸ごと放送」
民放FMのように,イントロにアナウンスを入れたり,曲の途中でフェードアウトさせ,別な音をかぶせたりということは,まずしません。(平日夜9時からの番組だけは例外ですが…アノ番組も,変に「民放かぶれ」した番組構成はいい加減やめて欲しいところです。桑田佳祐や中島みゆきや大槻ケンヂがパーソナリティをしていた頃の,純粋な「音楽研究番組」に徹して欲しいところです。)
例えば,「あ〜,80年代の歌謡曲が聴きたいなぁ」と思い,番組表を見てみると…
後 01:00 歌謡スクランブル
逢地真理子「抱きしめてトゥナイト」 (田原 俊彦)
(4分14秒)
<ポニー・キャニオン PCCA−00320>「サムライ・ニッポン」 (シブがき隊)
(3分26秒)
<ソニー SRCL−4831>「愛の呪文」 (石川 秀美)
(4分04秒)
<BMGビクター BVCR−1511>「君だけに」 (少 年 隊)
(4分45秒)
<ソニー SRCL−4914〜5>「あなたを・もっと・知りたくて」 (薬師丸ひろ子)
(3分50秒)
<東芝EMI TOCT−24354>「早春物語」 (原田 知世)
(4分58秒)
<ソニー SRCL−4829>「ズ ー」 (エコーズ)
(6分12秒)
<ソニー AICT−1261>「神様ヘルプ!」 (チェッカーズ)
(4分01秒)
<ポニー・キャニオン PCCA−02002>「瞳はダイアモンド」 (松田 聖子)
(4分17秒)
<CBSソニー 00DH−311〜4>「リフレクシヴ・ラヴ」 (杉山 清貴)
(5分03秒)
<バップ VPCC−84114>「フレンズ」 (レベッカ)
(4分33秒)
<キューン・ソニー KSC2・71>「タンゴ・ノワール」 (中森 明菜)
(4分07秒)
<Wea WPC6−8057〜8>「好きさ」 (安全地帯)
(2分34秒)
<キティ H32K−20110>
と,ズラリ載っているわけです。この番組,はじめと最後に曲の紹介があるだけで,真ん中はとにかく上の曲を流しっぱなし。なのでこれをMini Diskなんかに録音し,はじめと最後の曲紹介を削るだけで…はい,「80年代歌謡セレクション」のできあがり。田原俊彦なんて,一体どこで何やってんだか,原田知世なんてちょっとCD屋ではちょっと恥ずかしくてクラシックCDよりも買いにくいです。っていうか買いません。ラジオで流れなければ恐らく未来永劫聞くことはないでしょう…。
さて,クラシックですが,NHK−FMでは,大きなウェイトを占めていて,平日でも1日7時間以上,日曜日は10時間以上がクラシック番組という,クラシックファンには,大変有り難い番組編成となっています。
内容は,CDやレコードを放送するものをはじめ,国内や海外の演奏会の録音もあり,素晴らしい演奏「名演」に出会う可能性もあります。そういうときの演奏を録音していると,それはもう宝物!特にCDにならない場合も多く,そうなると,なおその価値が増してきます。大事に大事に取っておきましょう。
最近では(確かあれは…小澤征爾がウィーン・フィルの定期演奏会に出た時からだったように記憶しますが)ウィーン・フィルの定期演奏会の「生放送」も行うようになりました。今度の日曜日の夜に放送されるウィーン・フィルの定期演奏会はこんな演目だそうです。
http://www.nhk.or.jp/hensei/fm/20050220/frame_18-24.html
後 07:00 ヨーロッパ・クラシック・ライブ
坪郷佳英子
【ゲスト】 佐々木典子
− ダニエーレ・ガッティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 −「バレエ音楽“ロメオとジュリエット”抜粋」プロコフィエフ作曲
「楽劇“トリスタンとイゾルデ”から 前奏曲と愛の死」
ワーグナー作曲「“ルル”組曲」 ベルク作曲
(ソプラノ)クリスティーネ・シェーファー
(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(指揮)ダニエーレ・ガッティ
〜オーストリア・ウィーン楽友協会、
放送センターCR501スタジオからナマ放送〜
(オーストリア放送協会との同時放送)
ウィーンに行った気になって,聞くことができるのです。これはスゴイ。
ウィーン・フィルの定期演奏会は,「定期会員」にならないと,定期演奏会のチケットが手に入りません。もしくは定期会員がチケットを手放す,キャンセル待ちです。
http://www.wienerphilharmoniker.at/index.php?set_language=ja&cccpage=tickets_subscriptionconcerts
日本語のページにはなーんにも書いてないくせに,英語とドイツ語のページには,定期会員になる方法が書いてあるんですね…英語もドイツ語もわからないヤツは定期演奏会に来るなっつうことですかね…とひがんでみたり。おそらく,毎回定期演奏会に日本から来る人は,業界関係者ぐらいしかいないからでしょうね…と良い方に推測してみます。
ちなみに,定期会員になるまでには,どのくらい待たねばならないのかというと…,
http://www.wienerphilharmoniker.at/index.php?cccpage=tickets_subscriptionconcerts&set_language=en土曜日または日曜日会員は13年待ち,ソワレ(平日の夜の演奏会:年5回)会員は6年待ちです。
特集番組ともなると,平気で番組時間がウン時間になります。
先日は,お昼から夜10時まで,間にニュースを挟んで,約9時間ぶっ続けで,クラシックリクエスト番組を行っていました。年に数回あるようですが,こういう番組もNHK−FMならではのもの。
○特集クラシックリクエストhttp://www.nhk.or.jp/classic-r/pc/
NHK−FMでは,ほとんど音楽を流しっぱなしの状態なので,クラシックを聞きたいけれど…という場合,とりあえずNHK−FMを垂れ流しておいて,その中で「あ,この曲,いいな」と思ったものがあったら,NHKの番組表で確認しCDを買いに行く,というのも,良いと思います。
NHKでは,ラジオは受信料支払の対象外だとか(放送法第32条)…。ラジオ番組はテレビ受信料を流用して制作されていることになります。時代の潮流に反して?私はご丁寧なことに,NHKにテレビ受信料を払っていますが,その元をとるくらい,ラジオで楽しませてもらってますので,番組の内容については充分満足していますが,受信料の横領など,社員の不正には厳しく対応して欲しいものです。